スポンサーリンク

「厳しいしつけが子どものためになる」という考えの落とし穴

きちんとしつけられた行儀の良い子ども、素直な子どもを見ると、「親が愛情を注いで、しっかり教育しているんだな」と感心します。その反面、行儀の悪い子どもを見ると「どんな親にどのような環境で育てられているんだろう」と疑問がわきます。

ちょうど良いバランスでしつけをすれば、子どもは良い子に育ちます。でも、しつけが行き過ぎると子どもにとって悪影響を与えます。行き過ぎた厳しいしつけは虐待になる恐れもあるのです。

厳しいしつけ

厳しいしつけがいきすぎれば虐待となる

しつけは学校で行うものではありません。家庭で行う教育です。日常生活で必要な礼儀や生活習慣を身につけさせることです。ところが、虐待で子どもを死なせてしまったり、大けがを負わせてしまった親のニュースが流れると、必ずといっていいほど「しつけのつもりだった」と自分を正当化します。

親はしつけをしているつもりでも、厳しすぎるしつけや、逆に全くしつけをせずに子どもを放任していれば、子どもにとっては虐待となってしまうこともあります。ほんの一部の親を除いて、子どもを虐待したいなんて思っている親はいません。子どものためを思ってしつけをします。

虐待は「身体的虐待」「心理的虐待」「性的虐待」「育児放棄」の4つに分けることができます。ひとりで子育てをしていて、身近に相談できる人がいない場合、「自分が行なっているのは虐待なのか、それともしつけなのだろうか」と分からなくなるかもしれません。

まじめな性格で、完ぺき主義な人ほど追い詰められて虐待に走ってしまうというケースもあります。もし、自分が「子どもを虐待しているかも」と感じたら、次のことを考えてみてください。

“子どもが言うことをきかないとイライラして叩いたり、暴言を吐いてしまうだろうか”“「この子さえいなければ」とつい考えてしまう”“子どもが可愛いと思えなくて苦しい”。正直に考えて、もし、思い当たることがあれば外部に助けを求めましょう。

虐待している親は自分自身が追いつめられていて、自分の力ではやめることができません。心療内科を受診してみるのもいいでしょう。自分だけで悩んでいてはいけません。取り返しがつかなくなる前に、信頼できる人やカウンセラーなどに話して助けを求めましょう。

ガミガミ叱ることは子どもの自己否定につながる

母親は毎日毎日同じようなことでガミガミと子どもを叱ってしまいがちです。「何度言ったら分かるの?手を洗いなさい!」「靴を揃えなさいって言ってるでしょ?」「勉強しなさい!」「おもちゃを片付けなさい!」「静かにしなさい!」

いったい、一日に何回子どもを叱っていますか?繰り返し、繰り返し、毎日子どもをガミガミ叱っていては、いくらそれが子どものためを思ってのことでも、子どもの精神の成長を妨げてしまいます。

ガミガミ叱ることは、子どもにとって害悪にしかなりません。母親の言葉は子どもの自己評価に影響します。幼い時の自己評価は、その後の人格形成の設計図になります。子どもはその設計図に基づいて性格を形作っているので、心の根本に自己否定の気持ちがあるならば、精神的に安定しない大人になるでしょう。

常に否定され叱られて育つ子どもは、自分に自信がなく、新しいことにチャレンジすることができません。また、自分を愛せなくなるので破滅的な生き方をするようになる可能性もあります。

幼い子どもは、自分を正当に自己評価できません。自分がどんな人間なのか、子どもには判断できないからです。ですから、周囲の人の評価によって自分を評価します。特に、子どもにとって一番大きな存在である母親の言葉によって自分を評価します。

ガミガミ叱られている子どもは、自分はダメだと思い込みます。さらには、母親の愛情さえ疑います。「お母さんは私のことを嫌いだからうるさく怒るんだ」と考えてしまうのです。また、人間の脳は錯覚しやすいものです。

よく知られているのは「吊り橋効果」と言われるものです。恐怖や興奮したときに感じるドキドキを、恋愛感情によるドキドキと勘違いしてしまうという心理です。大人の脳も錯覚するのですから、子どものまだ発達途中の脳は、たびたび錯覚を起こします。

たとえば、「宿題をしなさい」と毎日叱られている子どもの脳は、叱られたときの不愉快な気持ちをインプットします。母親のつり上がった目、怖い口調をインプットしてしまうのです。すると、宿題=嫌なものと認識してしまいます。母親は子どものために口を酸っぱくして起こっているつもりでも、子どもは叱られれば叱られるほど嫌になってしまうのです。

「愛されている」「受け入れてもらえる」という自己肯定感が強い心をつくる

子どもの心の健全な発育に必要なのは、親から「愛されている」「受け入れてもらえる」という安心感です。親の愛情を感じて育った子どもは自分を正当に評価できます。

自分のことを「生きる価値がある」「誰かに必要とされている」と感じることができるのです。そのような子どもは自分の欠点も含めて自分を愛すことができます。

自己肯定感の強い子どもは、挫折や失敗を経験したり、ストレスを感じたりする環境に置かれても自分の力で乗り越えることができます。自己肯定感は、おもに6歳までの間に形作られると言われています。ですから、特に子どもが幼い間、十分に子どもに愛情を注ぎましょう。

抱きしめたり、背中をさすったり、手をつないだりしてスキンシップをとりましょう。子どもに直接「大好き」「大切に思っている」とちゃんと言葉に出して伝えてください。照れくさくても、言葉と行動で愛情を示しましょう。

母親が子どもをよく褒めるのは良いことです。子どもができたこと、成功したことを褒めるのも大切ですが、たとえ失敗したりできなくても、がんばったことを褒めることができます。そうすれば、子どもは新しいことにチャレンジすることを恐れなくなります。

たとえ失敗しても許されるんだと学びます。また、たとえ成功しなくても、失敗しても親は変わらず愛してくれると確信できます。幼いときに自尊心を培えれば、大人になってから役立つでしょう。

あなたの悩みに関連するページを検索

スポンサーリンク