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母子家庭の再婚に伴う養子縁組と解消の方法

母子家庭の母が再婚する際、自分は相手との婚姻届を提出すればその相手と新しい戸籍を作り、そこに入ることができますが、自分のこどもについてはそのままでは新しい戸籍に入ることができません。
そこで、同じ戸籍に入るために「養子縁組」という方法をとることになります。

養子縁組はしなきゃだめなの?

自分にとって相手は「夫」となり、自分は「妻」となりますが、子どもは養子縁組をしなければ同じ戸籍に入ることもできず、子どもだけが元の戸籍に一人残ったままとなります。

実際には書類だけの問題かもしれませんが、なんとなく仲間はずれ・虐待じみた印象を受けます。
そこで同じ戸籍に入れるために、相手と子どもを養子縁組するのが一般的となっています。

でもこの養子縁組、再婚したら絶対にしなければならないのかというと、実はそうではありません。
あくまでも《同じ戸籍に入れたい場合》は養子縁組をすれば良いのであり、そうしたくない場合はそのままにすることもできます。

ですが、普通は母親にとっては本当の自分の子どもですので同じ戸籍に入れたいと考えるものでしょう。

養子縁組の種類と詳細

通常の普通養子縁組届は、婚姻届と一緒に出すのが一般的です。
特別養子縁組の場合は、普通養子縁組と比べて複雑な手続きが必要になります。

養子縁組の種類

養子縁組には、一般的に良く知られている普通養子縁組と、特別養子縁組の2種類があります。

  • 普通養子縁組
    養親となる人と子ども、双方の合意のもとに成り立つ養子縁組制度で、一般的によく知られているものです。
    戸籍上は実の親と養親の両方が記録として残ります。
    そのため、実の親および養親に関して相続の権利が残ります。
  • 特別養子縁組
    実の親と子どもの関係が法の上では断絶される養子縁組制度です。
    そのため、実の親に関して相続の権利が消滅します。
    戸籍上は、養親となる人が実の親として記載されるため、再婚の際などには希望する人が多くいます。
    ただし、裁判所による審判が必要となり、また、子どもの年齢や養親の年齢などに制限が設けられているため、必ずこの制度が利用できるとは限りません。

養子縁組の方法

普通養子縁組は、養子縁組届を役所の窓口に提出することで完了します。

届出人

養子縁組を届け出ることができるのは、養親と養子になる人です。
ただし、養子になる人が15歳未満だった場合は、法定代理人が届け出ることも可能です。

届出の場所

届出人の住所地、本籍地、所在地のいずれかの市区町村役場の窓口。

必要な持ち物

  • 養子縁組届(役所の窓口に用意されています)
  • 戸籍謄本(養親、養子ともに1通ずつ。ただし、届け出る役所が本籍地だった場合、不要となります)
  • 印鑑(養親、養子ともに必要。ただし養子となる子どもが15歳未満の場合は法定代理人の印鑑となります)
  • 本人確認書類
  • 家庭裁判所の許可書の謄本(養子になる人が未成年者の場合。直系卑属の場合は不要となります)

提出期間

特に定めはなく、提出・受理されれば効力を発揮します。
また、土日祝日の提出は基本的にはできませんが、自治体によっては休日窓口にて預かり、平日の通常業務開始時点で受理とするところもあります。

養子縁組解消の方法

縁あって再婚することができたものの、時間の経過とともにまた離婚するという道を歩む場合があります。

この場合、相手と子どもの養子縁組を解消する必要が出てきます。

離婚方法別の養子縁組解消の仕方

養子縁組の解消の仕方は、現時点では3種類が存在しています。

  • 協議離縁
    養親・養子双方の協議・合意によって離縁が成立する方法です。
    この場合は、役所の窓口に「養子離縁届」を提出することで養子縁組が解消されます。
    ただし養子が15歳未満の場合は法定代理人が変わりに協議を行います。
  • 調停離縁
    協議による離縁ができない場合は、家庭裁判所へ申し立てを行うことで調停離縁となります。
    申し立ては養親から、養子からともに可能です。
    調停によって離縁が決定した場合、10日以内に役所の窓口に養子離縁届を提出し、養子縁組が解消されます。
  • 裁判離縁
    家庭裁判所の調停でも決着がつかず不調となった場合、その上の裁判という方法に訴えることになります。
    ただし、裁判に訴えるためには次のような条件を満たす必要があります。
  1. 養親あるいは養子により悪意の遺棄をされている場合
  2. 養親あるいは養子のいずれかの生死が3年以上にわたって不明の場合
  3. その他、養子縁組を相続しがたい自由がある場合

これらの条件を満たす場合に裁判に訴えることが可能となり、裁判によって離縁が認められた場合は10日以内に役所の窓口に養子離縁届を提出し、養子縁組が解消となります。

届出人

  • 養親または養子(養子が15歳未満の場合は法定代理人)
  • 裁判離縁の場合は申立人

必要な持ち物

  • 養子離縁届(役所の窓口に用意されています。届出人の署名・押印、成人2名の証人の署名・押印のあるもの)
  • 戸籍謄本(養親、養子ともに1通ずつ)
  • 養子離縁届に押印するのに使用した印鑑
  • 調停調書の謄本(調停離縁の場合)
  • 審判・判決書の謄本と確定証明書(裁判離縁の場合)
  • 届出人の本人確認書類

届出の場所

届出人の住所地、本籍地、所在地のいずれかの市区町村役場の窓口。

提出期間

特に定めはなく、提出・受理されれば効力を発揮します。
また、土日祝日の提出は基本的にはできませんが、自治体によっては休日窓口にて預かり、平日の通常業務開始時点で受理とするところもあります。

養子縁組はよく考えた上で決定を

再婚に浮かれて先々の見通しも考えずに養子縁組を行った場合、うまくいかなくなった際に面倒な手続きが増えてしまうことになりますが、自分だけ別の戸籍に入って子どもはそのまま…という現実には、つらいものがあります。

私自身、母子家庭で育ち、15歳のときに母親が再婚して出て行ってしまったことを覚えています。
母親は苗字が変わり、私はそのままだったので、母は自分だけ相手の戸籍に入り、私はそのまま置いていかれたのだと後で知りました。

特に生活面で支障はなかったものの、子ども心に大きく傷ついたこと、母は子どもよりも男が大事だったのだという事実を理解したとき、そのショックは計り知れないものでした。

今は自分も母親となり、そして母子家庭となって子どもを育ててきましたが、いまだに母を許すことのできない自分がいます。

再婚してうまくいくかどうかは、実際やってみなければわかりません。
養子縁組することに抵抗があるなら慎重に考えるべきですが、子どもに疎外感を与える結果とならないよう、十分な配慮も必要になると言えそうです。

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